100,000年後の安全
原子力発電所で利用した燃料棒は燃料としての使命を終えたあとは高い放射線を出し続けるゴミとなる。このゴミは焼却することもできず最終処分方法が決まらないまま長い間中間貯蔵されつづけている。海や宇宙への処分は難しく、いまのところの現実的な解は地面に穴掘って埋める「地層処分」と呼ばれる方法だけのようである。
世界中で原子力発電所を持つ国は同じ問題を抱えているはずなのだが、地層処分を決定し実行をはじめたのはフィンランドだけであり、この映画ではフィンランドのオンカロと呼ばれる地層処分施設および関係者の映像を通して、施設の想定寿命10万年というとんでもない施設の意味を問いかけている。
2020年くらいから100年間は燃料棒のゴミを捨て、100年先の2120年にはコンクリートを流し込んですべて埋めてしまう計画らしい。そこから先10万年は二度と発掘してはいけない施設であるが、キリストが生まれてからも2000年、そもそもフィンランドが何年存在しているのか、同じ文明や、同じ言葉を持つ人類が残っていくのか、10万年の間には氷河期もくる予測である。結論は開けないでくれることを願っているだけなのであった。
吉祥寺バウスシアターにて。
